| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-138  (Poster presentation)

落葉樹の芽の休眠・展葉機構:コナラの芽における冬と夏に共通する因子の探索
Identification of genes regulating the bud growth of Quercus serrata in winter and summer

*小林正樹(国際農研), 宮崎祐子(岡山大学)
*Masaki KOBAYASHI(JIRCAS), Yuko MIYAZAKI(Okayama Univ.)

温暖化の影響により、多くの樹木で開芽・展葉のタイミングが変化してきていることが報告されており、開芽・展葉時期を制御する機構の理解は重要な課題である。古くから温度や光が温帯樹木の春の開芽・展葉時期の制御に関与することが知られてきた。しかしながら、十分な暖かさと光を人工的に与えても、短時間のうちに開芽・展葉が起きるわけではなく、十分に成長できるだけの温度を積算して受けるまで、芽の状態を維持する仕組みが樹木には存在すると考えられる。そこで本研究では、そのような芽の状態を維持する仕組みを遺伝子レベルで明らかにするために、コナラを材料として網羅的遺伝子発現解析を行った。目的とする芽の状態を維持する働きを持つ遺伝子は、冬の芽や、気温が高くとも十分に成長していない初夏の若い芽で特に高い活性を持つと仮定し、冬および初夏の芽で共通して発現量の高い遺伝子を単離した。得られた遺伝子の中には、ポプラなどの他の植物において既に休眠・開葉に関与することが報告されている遺伝子も含まれていた。本ポスター発表では、これらの遺伝子の季節的な発現パターンの変化から、樹木の開芽・展葉時期の制御について議論したい。


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