| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-151  (Poster presentation)

東北地方の市街地におけるアブラコウモリの活動場所選択
Habitat selection by Japanese house bats in an urban landscape, northeastern Japan

小野航太, *斎藤昌幸(山形大学農学部)
Kota ONO, *Masayuki U. SAITO(Yamagata Univ.)

 都市化の進行は哺乳類に対して一般的には負の影響を与えることが多いが、都市に適応している種も存在している。アブラコウモリは都市に適応している種で、その生態は多く調べられているものの活動場所としてどのような環境を利用しているのか十分には分かっていない。また、都市では交通や人工光といった大きな人為撹乱が存在しており、コウモリ類に負の影響を与えることが知られているが、アブラコウモリに対しても影響を与えるのかは不明である。本研究では、都市におけるアブラコウモリの飛翔活動場所の選択に重要となる環境要因を交通や人工光の影響も考慮しながら明らかにする。
 2020年8月から10月にかけて、鶴岡市の市街地景観からランダムに抽出した120地点において、バットディテクターでアブラコウモリの活動量を記録した。同時に、交通量の指標である音圧と人工光の指標である照度も測定した。また、GISを用いて各地点における水場からの距離、NDVI、1976年の都市的土地利用(都市の年代の古さの指標)を作成した。アブラコウモリの活動量とこれら5つの要因との関係を一般化加法モデル(GAM)で解析した。
 調査の結果、88地点でアブラコウモリの活動が確認できた。GAMの結果、アブラコウモリの活動量は、水場に近く植生がやや存在する場所において高くなる傾向が示された。音圧と照度は一定の値よりも高い場所において活動が低くなる傾向が示され、アブラコウモリが交通や人工光という人為撹乱を避けていることが示唆された。とくに音圧は最も重要な要因であったことから、交通はアブラコウモリの活動場所選択に大きな影響を与えていると考えられる。これらのことから、アブラコウモリは都市に適応しているものの都市景観全体を均等に利用しているのではなく、景観内の様々な環境に対して選択性が存在していることが示唆された。


日本生態学会