| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-171  (Poster presentation)

大河川における水生植物の生育環境要因についてー鬼怒川・小貝川を例にー【E】
Environmental factors of Aquatic Plants in rivers: Kinu river and Kokai river as examples【E】

*槐ちがや, 崎谷和貴(土木研究所 流域生態)
*Chigaya ENJU, Kazutaka SAKIYA(PWRI Watershed restoration)

 国内外において、陸水域の生物多様性は近年急速に失われつつある。日本国内においてもその多くが陸水域に生育する水生植物は全国的に減少している。湖沼などの止水域や小規模な河川における水生植物の生育要因等についての研究は多いが、大河川における水生植物の生育環境についての知見は少なくいまだ不明な点が多いため、生育環境の基礎データの収集は重要であると考えられる。そのため本研究においては鬼怒川、小貝川を対象に大河川における水生植物の生育環境を明らかにすることを目的とした。
 調査は2022年9月~11月上旬にかけて実施した。過去の水生植物群落のデータを参考に水生植物群落が出現しうるワンド、たまり、細流、本川を調査した。各調査地点で出現した維管束植物および環境要因として、流速、水深、泥厚および、底質(泥、砂、礫、石)の在不在を記録した。
 維管束植物は合計22種(沈水植物:4種、抽水植物:11種、浮葉植物:1種、浮遊植物:2種、湿生植物:4種)が確認された。また、在来種は15種、外来種は7種だった。このうちで2つの河川で共通して出現回数が最も多かったのはヨシ(抽水植物)だった。また、ワンド、たまり、細流にしか出現しない種はそれぞれ、3、3、6種ずつであり、本川にしか出現しない種はなかった。さらに代表種であるヨシ、ヒメガマ、クサヨシの在不在、沈水植物の在不在、抽水植物の在不在、湿生植物の在不在を目的変数、各環境要因および生育場を説明変数として一般化線形モデルをそれぞれ構築した。ヨシの在不在については、水深、流速が負の効果があった。同じ利根川水系であり小貝川の支川の大谷川では、抽水植物は右岸・左岸際が正の効果があった。そのため、今回の結果とあわせても利根川水系において抽水植物であるヨシについては、水深が浅く、流速が小さい河岸際のような環境が生育に適しているのではないかと考えられた。


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