| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-180  (Poster presentation)

Phylogeography of genus Campanula L. in Japan.
日本列島におけるホタルブクロ属の系統地理

*阿部晴恵(新潟大・佐渡自共セ), 松尾歩(GENODAS), 陶山佳久(東北大学農学研究科)
*Harue ABE(NIigata University), Ayumi MATSUO(GENODAS), Yoshihisa SUYAMA(Tohoku University)

キキョウ科ホタルブクロ属ホタルブクロ(Campanula punctata Lam.)は、日本、朝鮮半島、中国、ロシア(シベリア)に分布する。変種として、山地に多く生育し萼片の間が盛り上がりから識別されるヤマホタルブクロ(C. p. var. hondoensis)と四国石立山に生育する矮性種のイシダテホタルブクロ(C. p. var. kurokawae)、鬱陵島の固有変種タケシマホタルブクロ(C. p. var. takeshimana)が知られている。また、伊豆諸島及び伊豆半島には、APG分類で別種とされるシマホタルブクロ(C. microdonta)が生育する。本研究では、日本及び朝鮮半島におけるホタルブクロの分子系統地理学的解析を行い、変種とシマホタルブクロの分類学的位置づけを行うこと、さらにその分布変遷を明らかにすることを目的とした。MIG-seqによるゲノムワイドSNP分析の結果、Admixture解析ではK=7が支持され、①北日本、②四国九州中国、③中部、④関東(神奈川、静岡、山梨)、⑤韓国、⑥韓国(鬱陵島と太白山)、⑦伊豆諸島という地域的にまとまった集団間で遺伝的組成が異なることが明らかになった。変種のヤマホタルブクロとホタルブクロの遺伝的分化は支持されなかった。これは以前行った、葉緑体での結果とも同様である。イシダテホタルブクロは②の集団に含まれ、シマホタルブクロは⑦にまとまったが、RAxMLによる分子系統解析では遺伝的分化は支持されなかった。さらに、各集団の分散過程について、DIYABC―RFを用いてその変遷と分岐年代推定を行った結果について報告する。


日本生態学会