| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-183  (Poster presentation)

赤いツバメは精子が小さい
Reddish plumage coloration is negatively related to sperm length

*長谷川克(石川県立大学), 新井絵美(総合研究大学院大学), 中村雅彦(上越教育大学)
*Masaru HASEGAWA(Ishikawa Pref Univ), Emi ARAI(SOKENDAI), Masahiko NAKAMURA(Joetsu Univ Education)

性選択は交尾前に使われる形質を装飾化するだけでなく、精子サイズの増大など交尾後に使われる形質の進化も促進する。ただ、そうした状況下で両者が互いにどのように関係しているかはよくわかっていない。本研究では、日本で繁殖するツバメ(Hirundo rustica gutturalis)の集団内パターン、及び、ツバメ科(Hirundinidae)全体を用いた種間パターンを分析することで、フェオメラニン色素由来の装飾形質と精子サイズの関係を調べた。フェオメラニンは鳥類や哺乳類に広くみられる赤い色素で、体内で生産される。さらに、生産時に(精子伸長過程で必要な)抗酸化物質を消費してしまうことから、フェオメラニン色素量の増加は精子サイズの増大と両立できないと予想できる。実際、種内分析と系統を考慮した種間分析のいずれにおいても、羽毛の赤さと精子サイズの間には負の関係がみられた。このことは両者間に進化的なトレードオフが存在し、お互いの進化に歯止めをかけていることを示唆している。


日本生態学会