| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-187  (Poster presentation)

絹糸生産に伴うチョウの翅の変化
Variation in wing morphology of a swallowtail butterfly in relation to silk production.

*加藤三歩, 辻和希(琉球大学)
*Mitsuho KATOH, Kazuki TSUJI(Univ. of the Ryukyus)

絹糸を紡ぐ生物の絹糸生産と後のライフステージで発現する形質間のトレードオフはあまり理解されていない。そこで、チョウの幼虫の絹生産量を操作して多量の絹糸生産が成虫の翅の発達に与える影響を調査した。絹糸生産量が多いとき、雌雄ともに後翅のアスペクト比が減少した。また、オスの前翅形状の左右非対称性が増加した一方、雌雄の後翅形状の左右非対称性は減少した。オスの前翅と後翅のセントロイドサイズは、多量の絹糸生産によりわずかに減少し、サイズの左右非対称性が増加した。対照的に、メスの前後翅のセントロイドサイズは増加し、左右非対称性は減少した。全体として、絹糸生産のコストはメスよりもオスのほうでより顕著に生じる可能性が想定され、メスは長距離移動に適した翅形態を保持していると考えられた。これらの翅の変化は、性特異的な生活史と資源配分戦略に起因することが予想される。


日本生態学会