| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-197  (Poster presentation)

日本産コオロギ亜目昆虫の遺伝的多様性
Genetic diversity of Japanese Ensifera species

*里村和浩, 高嶋あやか, 斎藤勝和, 小倉淳(長浜バイオ大学)
*Kazuhiro SATOMURA, Ayaka U. TAKASHIMA, Masakazu SAITO, Ogura ATSUSHI(Nagahama Inst. BioSci. & Tech.)

コオロギ亜目が属する直翅目は、不完全変態昆虫で最も種数の多い分類群であり、日本で5番目に多い昆虫分類群である。コオロギ亜目昆虫の多くは、人里に近い草地や森林などに棲息し、成虫の雄が翅を擦り合わせて鳴く所謂秋の虫として親しまれてきた。コオロギ亜目昆虫は、日本列島に広く分布することから、それぞれの環境に適応することが重要である。例えば、日本で普通種として知られるエンマコオロギは、卵のまま地中で越冬する卵休眠を行うが、日本でも亜熱帯を中心に棲息する近縁種のタイワンエンマコオロギは、越冬の必要がないからか卵休眠を行わない。タイワンエンマコオロギは南西諸島だけでなく九州や四国などにも棲息しており、エンマコオロギと交雑可能である。さらに、日本国内では北海道や東北地方に棲息するエゾエンマコオロギも交雑可能であるため、エンマコオロギ属が日本列島の中でどのような棲み分けをしているのか、あるいは自然界において交雑しているのかを調べることは、コオロギ亜目昆虫の生態や環境適応を理解する上で重要である。
コオロギは、短翅型と長翅型の二型があることが多く、形態によって移動度が異なる。また、多くのコオロギ亜目昆虫がボルバキア感染していることが報告されており、寄生虫によって行動を制御されることがあり得る。さらに、鳴き声に種間・種内で多様性があり、鳴き声はコオロギ亜目昆虫の交配に重要であることから、その多様性は流入の妨げになる可能性がある。そこで、本研究では日本全国から収集したコオロギ亜目昆虫68種およびエンマコオロギ77系統の全ゲノム配列を用いて遺伝的多様性を解析し、その集団構造から進化史や環境適応について考察した。


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