| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-200  (Poster presentation)

アクアリウムから家庭に侵入する外来種
Invasion source of the alien species in the household's aquarium.

*中井静子, 中村優馬, 山崎真広, 小熊雪那, 忍足将人, 中村晴, 小沢広和(日本大学)
*Shizuko NAKAI, Yuma NAKAMURA, Masahiro YAMAZAKI, Yukina OGUMA, Masato OSHIDARI, Sei NAKAMURA, Hirokazu OZAWA(Nihon Univ.)

 国内河川には、スクミリンゴガイ(シャンボタニシ)やサカマキガイなど複数の淡水外来貝類が侵入している。その多くは国内への侵入経路が不明であり、侵入源は家庭のアクアリウムではないかと推定されることもあるが(国立環境研究所 侵入生物DB)、家庭のアクアリウムにおける外来貝類の実態を詳しく調べた研究はない。
 そこで我々は、2019年より家庭のアクアリウムおよび家庭のアクアリウムと関連が強いと考えられるペットショップのアクアリウムの調査を行っている。これまでに217件のペットショップのアクアリウム、81件の家庭のアクアリウムを調査し、飼育対象の観賞魚やエビとは別の生物が水槽内に知らぬ間に入り込むことがわかった。これらの水槽混入生物は、貝類とさまざまな無脊椎動物であり、外来種が複数含まれていた。ペットショップの店員に、これらの水槽混入生物の水槽への移入源について聞いたところ、多くが水草に付着して生物が移動しているのではないかと考えていた。
 本研究では、水草が実際に水槽間の生物移動に関わっているのかどうかを検証するため、国内の複数の店舗から水草を購入し、水草の付着生物調査および水草飼育(生育)による生物の発生実験を行った。その結果、水草に生物が付着している例、水草を飼育したボトルで生物が発生する例が確認された。水草は飼育前に生物の付着の有無を確認し、生物を発見した場合は取り除いてから実験を実施したが、生物の混入を防ぐことはできなかった。また、混入生物は体サイズが小さく(1㎜前後)、飼育後数ヵ月を経て発見されることが多かった。本研究で採集された生物は18種類(貝類5種、節足動物8種類、環形動物2種類、刺胞動物2種類、扁形動物1種類)であった。


日本生態学会