| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-230  (Poster presentation)

東京大都市圏に造成された人工的な緑地の植物群集は時間と共に残存緑地に類似する
Artificial developed habitats can sustain plant communities similar to remnant ecosystems in the Tokyo megacity

*岩知道優樹(横浜国立大学), 内田圭(東京大学), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Yuki IWACHIDO(Yokohama National Univ.), Kei UCHIDA(University of Tokyo), Takehiro SASAKI(Yokohama National Univ.)

都市の緑地の量を増加させるという観点から、新規生態系(Novel ecosystems)と呼ばれる都市に人工的に開発された緑地への関心が近年高まっている。しかし、新規生態系における種の多様性や組成の時間的な変化パターンに関する理解が十分でないため、すべての造成緑地が都市の生物多様性保全に寄与しているかどうかは未だに不明瞭である。そこで、本研究では、東京大都市圏において、造成緑地における植物の種の多様性と組成が、時間(緑地が造成されてからの年数)ともとにどのように変化するかを、空間-時間置換法(space for time substitution approach)を用いて評価した。造成からの年数が異なる34個の調査地を選択し、各調査地に複数のトランセクト(20m)を設置することで、植物種の多様性と組成を調査した。Ordination regression-based approachを用いて、造成緑地における植物種組成は、造成からの年数とともに変化し、約130年後には残存緑地に似た植物種組成になることを示した。しかし、造成からの年数とともに在来種の多様性は変化しなかったが、外来種の多様性は減少していた。これらの結果は、都市における新たな緑地造成による生物多様性保全策の一定の有効性を示したが、新しい造成緑地には外来種が容易に定着する可能性も同時に示した。都市化により残存緑地の生態系が劣化していることを考えると、新規生態系が残存生態系と類似するまでの時間は、将来の都市生態系の予測や保全に不可欠な知見である。


日本生態学会