| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-248  (Poster presentation)

圃場整備時に表土移植をおこなった棚田畦畔の5年目の植生
Species composition of paddy levee vegetation five years after topsoil transplantation as a conservation measure during farmland consolidation

*澤田佳宏(兵庫県立大学, 淡路景観園芸学校), 松村俊和(甲南女子大学), 藤原道郎(兵庫県立大学, 淡路景観園芸学校)
*Yoshihiro SAWADA(Univ. of Hyogo, Awaji Landscape Plan. Acad.), Toshikazu MATSUMURA(Konan Women's Univ.), Michiro FUJIHARA(Univ. of Hyogo, Awaji Landscape Plan. Acad.)

 棚田畦畔の半自然草原は、草原生植物の主要な生育地である。しかし、圃場整備が行われた畦畔では特定の種群の欠落などの問題が生じることが知られている。圃場整備は地域の農業の持続のためには不可欠であるため、保全と両立可能な圃場整備手法の確立が急務である。圃場整備時に採りうる保全手法の一つとして、畦畔の表土移植が考えられる。淡路島北部では試験的に表土移植を実施した場所がある。今回の発表では、表土移植から5年目の植生の状況を報告する。
 調査地は淡路島北部I地区とした。I地区では、2017~2018年に圃場整備の工事が行われた。2017年5月(工事開始直前)にフロラ調査を実施したところ、工事区域に種の豊かな畦畔が含まれることが判明した。そこで、県土地改良事務所と地元営農組合と協議を行い、一部の畦畔の表土を、造成後の畦畔に移植した。工事工程の都合から、表土移植工事は2017年8月に実施された。良好な畦畔の表土を剥ぎ取り、その日のうちに造成済みの畦畔に運搬し、幅2m長さ約100m厚さ約10cmで敷き均し、転圧した。この移植時に表土は攪拌されている。
 植生調査は、移植3カ月後(2017年12月)、移植1年後(2018年9月)、および移植5年後(2022年12月)に実施した。
 表土移植の直後および1年後の調査では、ツリガネニンジン・ヤマハッカ・ノアザミ・ネコハギなど、圃場整備によって欠落しやすい種群の生育が確認された。しかし、5年後の調査では、これらの種のほとんどが欠落、あるいは大幅に減少しており、一方で、セイタカアワダチソウ・ヒメジョオンなどの外来種、ホトケノザ・カラスノエンドウ・ノゲシなどの畑地雑草が増加した。この事例では、表土移植は一時的には保全効果を示したが、長期的には保全効果が失われていくことが示された。その原因は不明で、今後の調査によって把握する必要がある。


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