| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-256  (Poster presentation)

調査・教育用VRコンテンツの作成を目的とした湿地生態系のUAVモニタリング手法の検討
Study of wetland ecosystem monitoring method using UAV for creating VR contents for research and education

*鈴木透(酪農学園大学), 山田浩之(北海道大学), 中村隆俊(東京農業大学), 田開寛太郎(松本大学)
*Toru SUZUKI(Rakuno Gakuen Univ.), Hiroyuki YAMADA(Hokkaido Univ.), Takatoshi NAKAMURA(Tokyo Univ. of Agric.), Kantaro TABIRAKI(Matsumoto Univ.)

VRを用いて研究や環境教育のDXを推進するために、劣化や消失が顕著な湿地生態系を対象にしたVR映像撮影用のUAVモニタリングシステム(以下、システム),実写型VRコンテンツ制作法とそのアーカイブ手法を確立することを目的とした研究の一環として、開発したシステムを用いて湿地のVR画像を撮影し、システムの評価と課題の抽出を行った。今回試験したシステムは、カメラとしてFusion(GoPro社)、UAVとしてMavic2Pro(DJI社)を用いた。撮影したVR画像は湿地の現況を把握するための画像(主に環境教育に使用)と植生を把握するための画像(主に植生調査に使用)の2種類である。前者は人の目線と想定した対地高度2m程度の画像(動画+タイムラプス)を湿原の特徴的な箇所を周回するルートで飛行速度1m/sで撮影(以下、ルート撮影)し、後者はなるべく地面付近の対地高度50㎝程度の画像(タイムラプス)を撮影(以下、地点撮影)した。2022年度に撮影した湿地は北海道の美唄湿原(高層湿原:8月5日撮影)、マクンベツ湿原(低層湿原:9月8日撮影)、歌才湿原(高層湿原:9月15日撮影)、静狩湿原(高層湿原:9月15日撮影)である。撮影した結果、Mavic2ProにFusionを搭載した場合、約10分間の飛行、ルート撮影で約600mの安定した撮影が可能であった。また、地点撮影においてMavic2Proに搭載されているFPVカメラを利用することにより地面付近まで安全に降下でき、人がアクセスできない湿地内においても本システムに安定したVR画像が撮影可能であることが明らかにあった。次に、Fusionで撮影した画像をVR画像に変換・確認した結果、ぶれの少ないVR画像であり、VRコンテンツに適用可能な画像を本システムにより収集可能であることが確認された。今後の課題としては、より長時間の飛行可能なシステムの開発やバーチャル標本や環境教育用教材に効果的なVRコンテンツの撮影方法の検討が考えられた。なお、本研究はJSPS科研費 JP18H03409、JP22H03788の助成を受けたものである。


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