| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-286  (Poster presentation)

シカによる過採食が土壌微生物群集に与える影響:広域シカ柵設置サイトにおける解析例【B】【E】
Effects of overbrowsing by sika deer on soil microbial communities: a case study using   large-scale deer exclusion fences【B】【E】

*門脇浩明(京都大学), 本庄三恵(京都大学), 中村直人(京都大学), 北川陽一郎(京都大学), 石原正恵(京都大学), 松岡俊将(京都大学), 立木佑弥(東京都立大学), 福島慶太郎(福島大学), 阪口翔太(京都大学), 井上みずき(日本大学), 藤木大介(兵庫県立大学), 境優(国立環境研究所), 高柳敦(京都大学), 山崎理正(京都大学), 徳地直子(京都大学), 高橋大樹(東北大学), 長澤耕樹(京都大学), 増田和俊(京都大学)
*Kohmei KADOWAKI(Kyoto University), Mie HONJO(Kyoto University), Naoto NAKAMURA(Kyoto University), Yoichiro KITAGAWA(Kyoto University), Masae ISHIHARA(Kyoto University), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto University), Yuuya TACHIKI(Tokyo Metropolitan University), Keitaro FUKUSHIMA(Fukushima University), Shota SAKAGUCHI(Kyoto University), Mizuki INOUE(Nihon University), Daisuke FUJIKI(Hyogo Prefectural University), Masaru SAKAI(NIES), Atsushi TAKAYANAGI(Kyoto University), Michimasa YAMASAKI(Kyoto University), Naoko TOKUCHI(Kyoto University), Daiki TAKAHASHI(Tohoku Unioversity), Koki NAGASAWA(Kyoto University), Kazutoshi MASUDA(Kyoto University)

日本の森林においてニホンジカ(以下、シカ)の過採食が問題となっている。過採食は、植物の種多様性やバイオマスの低下だけでなく、それらと相互作用する昆虫群集の多様性の喪失、さらには、土壌浸食を通じて河川生態系にまで大きな波及効果をもたらすことが示されている。こうした波及効果のなかで十分に検証されていないのが、過採食が土壌微生物に与える影響である。近年の植物土壌フィードバックに関する研究では、土壌微生物が植生の多様性の維持や遷移の促進に関与することが示されており、シカの影響が土壌微生物にまで波及するのかどうかを調べることの意義は大きい。そこで発表者らは、2006年に京都大学芦生研究林において設置された集水域スケールのシカ柵実験の設定を用い、長期的に下層植生が保護されているシカ柵内のサイトと、対照区となる柵をしていないサイトにおいて、土壌微生物のサンプリングを行った。集水域の一部において2-3m間隔で土壌コアサンプラーを用いて深さ5cmの基質土壌をサイトあたり24サンプルずつ収集した。ISOILを用いてDNAを抽出し、細菌16Sと真菌ITS領域のPCR、MiSeqを用いたDNAシーケンスを行い、DADA2とClaidentを用いてバイオインフォマティクス解析を行った。PERMANOVAとNMDSを用いた統計解析の結果、細菌・真菌群集ともに種多様性と組成はサンプル間で大きくばらつき、シカ柵設置サイトと対照区の間で有意な違いは全く見られなかった。


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