| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-10  (Poster presentation)

冬季の水生昆虫について【A】
Research on aquatic insects in winter【A】

*比嘉秀海(筑波大学附属駒場高校)
*Hidemi HIGA(Tsuku-Koma High School)

私は、小学校低学年の時から、自宅近くの池でトンボの採集、観察を行っている。この池は、そこまで大きな池ではないものの、これまで観察したトンボの種が10種を超える、トンボに関してはかなり豊かな環境である。今回、種類ごとの形質の差異に興味を持ち、どのような差異があり、それがなぜ存在するかを調べるために、調査を行った。調査対象として、この池に生息する不均翅亜目5種(ヤンマ科1種を含む)及び均翅亜目2種の計7種を選び、今回は、様々な形質の中でも、特に翅に着目して、調査を行った。調査方法としては、捕虫網等を使い、トンボを捕獲した後、定規を用いて、全長及び前翅、後翅の長さを測定した。また、測定後、トンボは速やかに放虫し、測定結果、採集地点、性別を紙に記録した。以上の作業を、計 150 匹のトンボで行い、分析を行った。
調査の結果、各トンボの翅の長さと全長の比について、均翅亜目に属する2種のトンボ、エゾイトトンボとアオイトトンボでは、不均翅亜目に属する他の5種に比べ、翅の長さを全長で割った値がかなり小さくなった。さらに、同じ不均翅亜目でも、アカネ属に属する 4 種のトンボ、マユタテアカネ、ナツアカネ、アキアカネ、ノシメトンボではほとんど値に相違は認められないものの、オオルリボシヤンマでは、これらに比べ、値がかなり小さくなった。また、サンプル数は少ないものの、アオイトトンボ、マユタテアカネでは、メスの方が、値が大きくなったのに対し、他のトンボでは、目立った差が見られなかった。
今回観察されたこのような形質の特徴は、池の中でも、種ごとに観察できる場所が異なったことから、その生息環境と、生態に関係があると考えた。
また、その実際の生態について調べるために、飛行時間についての調査を行ったが、サンプル数が少ないことから、更にデータを集め、分析していきたいと考える。


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