| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-11  (Poster presentation)

ブリンチュウ(Pachycereus pringlei)の刺座の配列方程式の決定【A】
Determination of the sequence equation of the sting seat of Pachycereus pringlei【A】

*吉田龍之介, 岸上栞菜, 本脇敬人, 藤田詩桜, 村瀬太郎, 大和司(兵庫県立姫路東高校)
*Ryuunosuke YOSHIDA, Kanna KISHIGAMI, Keito MOTOWAKI, Shion FUJITA, Tarou MURASE, Tsukasa YAMATO(Himejihigashi High School)

昨年度科学部の先輩は、刺座が螺旋を描いて配列しているのではないかと仮説を立てて、10種類のサボテンの刺座の配列を測定したが、規則性を持たないと結論付けた。その原因は、サボテンの形状の個体差を処理しなかったためと考えた筆者らは、本年度ブリンチュウに種を絞り、刺座の位置関係に影響を与える個体の歪みを補正して螺旋方程式を求めることを目的に研究を行った。測定したのは8個体である。
真上から見たときの軸の中央部を原点とすると、刺座は左回りと右回りに配列し、共有刺座で出会いながら下方に伸びている。原点と1つ目の共有刺座とを結ぶ線分をx軸、これに直角な線分をy軸とし、原点と1つ目の共有刺座間の距離を1とし、左回りと右回りにそれぞれの刺座の位置の座標を求めた。サボテンを真横から見て、刺座間の高さの差を測定した。
形状を客観的に比較するために、刺座の配列の螺旋方程式を求めようと試みた。ブリンチュウを真上から見たx-y平面で、隣り合う刺座間の角度θを測定した。測定した値から、n本目の刺座における螺旋方程式を、左回りと右回りのそれぞれで求めた。x-y平面では、半径r、中心角θとすると、螺旋方程式は、極方程式r=aθ、高さz=bnとなる。頂点と第1刺座を結ぶ直線を引き、第2刺座以降この直線からの左右のずれを測定し、実際の刺座の位置をその長さだけ水平方向に移動させた。
① ブリンチュウを真上から見たとき、刺座は左回りと右回りに螺旋を描いて配列し、共有刺座で交差しながら下方に伸びる。②本来の位置からの刺座配置の歪みを修正すると、正確にブリンチュウの刺座の配列を表す特徴的な螺旋方程式を求めることができた。ブリンチュウの刺座配列の螺旋方程式は、r=0.0114e^-0.127n×θ、z=-0.1757nとなる。


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