| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-25  (Poster presentation)

酢酸ナトリウム培養で水田の泥から得られたメタン生成細菌
Cultivation with Sodium Acetate of Methanogens Obtained from Mud in Puddy Field

*佐藤友璃, 津藤禮実, 髙橋苺子, 井村優奈, 大場彩加(宮城県古川黎明中・高)
*Yuuri SATO, Ami TSUTO, Maiko TAKAHASHI, Yuuna IMURA, Ayaka OBA(Miygai Furukawa Reimei HS.)

私達の目標は、水田に生息するメタン生成菌の特性をDNA解析によって明らかにすること、またそれを利用してメタンの安定供給を実現させることである。その目的に至った背景は、メタンはエネルギーとしての利用価値があるという事実を知ったことだ。現在他国からのエネルギー資源の輸入が不安定な状況であり、エネルギーの自給が求められている。そこで着目したのがメタンガスだ。私達が住む大崎耕土の水田に生息するメタン生成菌を採取し、利用したいと考えた。
水田の土110g、0.1mol/L酢酸ナトリウム水溶液500ml、リポビタンD0.5ml、塩化ナトリウム2g、スクロース4gを混合し、ペットボトルに入れ、キャップに針とシリンジをつけ、37℃で保温した。メタンの発生を確認したのちに、上澄み液を水田の土の代わりに同じ比率の材料を加え、10mlずつシリンジに分注し37℃で保温した。ゴム栓で閉じ、気体が発生すればピストンが上がる。酢酸ナトリウム溶液の濃度別に4種類作った。
第一の実験では鹿島台の水田の土にメタン生成菌が生息していること、酢酸ナトリウムを材料にメタンを発生させられることが分かった。第二の実験では、酢酸ナトリウムの濃度を変化させ、メタンの発生量が変化するか調べた。メタンの発生量の変化に規則性は見られなかったが、酢酸ナトリウム溶液の濃度が高いシリンジから発生した気体はセンサーでメタンの濃度が高いと分かった。しかし、センサーには問題点があり、改善途中である。
研究途中であるが、装置の上澄み液には酢酸を基質としたメタン生成菌が生息していることが分かった。現在装置のメタンの発生は止まっている状況である。ここで菌が酢酸を基質とするものだと証明するために酢酸を装置に追加してメタンの発生が再開するのか調べたい。また、上澄み液を徐々に薄めていくことで、メタン生成菌をしぼってDNA解析を行いたい。発見されているメタン生成菌は極少数なため、新種も期待できる。


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