| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-26  (Poster presentation)

蓮田は野鳥にとってオアシス【A】
Lotus roots to wild birds are an oasis【A】

*浅野遥斗, 鈴木碧馬, 川島綾華, 長澤花奈(浜松学芸高等学校)
*Haruto ASANO, Aoba SUZUKI, Ayaka KAWASHIMA, Kana NAGASAWA(Hamamatsu Gakugei High School)

本研究では、以下の2点を明らかにすることを目的とする。1つめは、小型ドローン(DJI MINI 2)を用いた野鳥調査時に、カモ類を中心とした水鳥に対する影響の大きさについて考察することである。小形ドローを用いた理由は、野鳥のなかには人間が接近した気配を察知し、飛び去ってしまう個体がいるからである。さらに、調査地によっては周辺が水路や垣根で覆われており、徒歩では容易に接近できない地点が存在するからである。2つめの目的は、浜名湖周辺において、養魚池や蓮田に依存して生息している水鳥を指標とし、水鳥の個体数や多様度と池の管理状況との関連性を明らかにし、浜名湖周辺おける水鳥群集の保全に配慮した整備のあり方について評価することである。1つめは、磐田市大池でドローンを飛行させ、野鳥への影響を調査した。遠距離から小型ドローンを高度10mと15mで飛行させ、動画を撮影した。そのとき、ドローンが上空に来たときに水鳥が退避した回数を計測した。その後、撮影された水鳥全個体のうち退避行動を示した個体の割合から、退避率を算出し、水鳥種が判別可能であるか評価した。2つめは、水鳥からみた蓮田の価値を評価するために、野鳥調査を行った。調査は、上空30mから溜め池全体を撮影し、その後、野鳥の種判別のために低空20mから撮影した。蓮田や放置池の面積、水面植被度、池周辺を取り囲む垣根や植生、連続水面の総面積などの指標をもとに水鳥による利用状況を解析した。本研究より、夏季に蓮田上面を大きな葉が覆い、茎が密に生えることでカルガモの雛が天敵から発見されにくくなり、蓮田がカルガモにとって快適な繁殖・育雛場所になっていること明らかになった。冬季も灌水されることで水鳥の餌場、休息場所となることが予測される。これらの結果を踏まえて、本研究では今後の冬季の蓮田の価値について議論する。


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