| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-32  (Poster presentation)

セイヨウタンポポの花茎の屈曲【A】
The Bending of Dandelion Flower Stalk【A】

*齋藤花楓, 小松果歩, 守谷祐乃, 及川倖奈(宮城県古川黎明中・高)
*Kaede SAITO, Kaho KOMATSU, Yuno MORIYA, Yukina OIKAWA(Miyagi Furukawa Reimei HS.)

セイヨウタンポポ(以下タンポポ)は成長の過程で花茎が屈曲することが知られている。私たちは、周りの草の上から屈曲している個体と、根元から屈曲している個体を発見した。日本各地で見られるタンポポだが、屈曲に着目した研究は少ない。本研究の目的は、発見した2つの個体の違いを明らかにするとともに屈曲の原因を解明することである。タンポポの花茎の屈曲には光が関係しているという仮説を立て、実験を行った。
まず、5月に校地内のタンポポの花茎の根元に、アルミ箔で光を遮断し観察をした。結果は、同じ個体でもアルミ箔を巻いていない花茎は根元から屈曲し、アルミ箔を巻いた花茎はアルミ箔の上から緩やかに屈曲した。
次に、10月に2つの実験を行った。①種子から育てたタンポポにそれぞれインキュベーターで赤、青の光を当て、花茎の屈曲を観察した。花茎の伸長が見られなかったため、葉の開閉を観察した。②校地内のタンポポに、赤と青のセロハンを張ったドームを被せ、花茎の屈曲を観察した。②では、外で観察するのでより自然に近い状態での観察が可能になる。結果は、①は違いが見られず、②は赤で根元から屈曲し、青で緩やかに屈曲した。
また、1月から開花後のタンポポの頭部を切り落とし、花茎にワセリンと混ぜたオーキシンを塗り始めた。オーキシンはインドール酢酸(IAA)と2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)を使用し、1/1000000の濃度に薄める。2gのワセリンに2µLのIAA、1gのワセリンに1µLの2,4-Dをそれぞれ混ぜ、IAAワセリンと2,4-Dワセリンを屈曲する前の花茎の根元に塗る。現在実験中である。
3つの実験から、花茎の屈曲と光が関連していること、赤、青片方の光のみでも屈曲が起こることが明らかになった。よって、花茎の屈曲には光が関係しているといえるが、光以外の要因もあると考える。今後は、オーキシンを用いた実験の観察を引き続き行いたい。


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