| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-41  (Poster presentation)

駒場野公園における生物相調査~駒場の生物多様性プロジェクト~【A】
Biodiversity Survey in Komabano Park ~Komaba Biodiversity Project~【A】

*小塚智弘(筑波大学附属駒場高校), 髙本穣太郎(筑波大学附属駒場高校), 片桐侠(駒場東邦高校), 濱本明伸(駒場東邦高校), 佐藤真治(駒場東邦高校)
*Tomohiro KOZUKA(Tsuku-Koma High School), Jotaro KOMOTO(Tsuku-Koma High School), Satoru KATAGIRI(Komaba Toho High School), Akinobu HAMAMOTO(Komaba Toho High School), Shinji SATO(Komaba Toho High School)

 駒場野公園は23区内に在しながら緑豊かな公園である。園内にて駒東・筑駒両校の生物部、並びに自然観察舎により合同で2021年4月から2023年2月の約2年にかけ生物相を調査した。園内の環境は大きく分け、雑木林、ケルネル水田、大池の3つに区分され、それぞれ調査を行った。都会の小規模な環境でありながら植物108種、昆虫128種、哺乳類3種、爬虫類3種、両生類1種、水生生物(魚類・甲殻類・水生昆虫)8種を記録した。都区部のレッドリストに掲載されているものは計11種であった。一方、外来種も25種見られた。雑木林は主にクヌギで構成され、28種の昆虫と45種の草本植物が記録された。昆虫は特にシイタケのほだ木の周囲に多かった。植物では目立った帰化植物の侵入は見られなかったが、人為的に公園外から移入されたと思われる植物が多く見られた。ケルネル水田は今も筑駒の生徒により稲作が行われている。水田と水路及び周囲の草地で調査を行い、79種の昆虫、74種の植物、6種の水生生物が記録され、カワヂシャやアマガエルのように都区部のレッドリストに掲載されているのも含まれた。数少ないながらハイイロゲンゴロウなどの水生昆虫も記録された。大池はケルネル水田の水源となる池であり、3種の水生生物が記録され、設置した定点カメラにより3種の哺乳類が確認された。また池の周囲の林で20種の昆虫を記録した。このように各区分で多数の生物が記録されたが、外来種も多かった。水田では毎回の調査でアメリカザリガニが記録され、大池ではアライグマやハクビシンなどの外来の哺乳類が記録された他、調査期間中にグッピーが突如出現するなど、放流されたと思われる事例も起きた。都会でも雑木林や水田といった里山的な人の手の加わった環境で多数の種が確認できた一方、明らかに人に放流されたと思われる生物も多く人と自然の関わりの良い面も悪い面も現れる結果となった。


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