| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-43  (Poster presentation)

オジギソウ(Mimosa pudica)の個体内の部位間での概日リズムの独立性【A】
Independence of circadian rhythms among plant parts within an individual Sensitive plant (Mimosa pudica).【A】

*岡本真奈(石川県立七尾高等学校)
*Mana OKAMOTO(Nanao High School)

オジギソウは就眠運動に概日リズムを持つことが知られている。しかし概日リズムが個体内の部位間で同調しているのか,それとも独立しているのかについては,ほとんど研究されていない。本研究はオジギソウ個体内での概日リズムの独立性の有無を明らかにすることを目的とする。概日リズムの崩れは植物の生育不安定化につながる。概日リズムの崩れを,個体内での独立性という点から考察したい。本研究は,他の概日リズムを持つ植物の栽培や生育の改善にも応用できる可能性がある。
以下の実験で光が当たり明るい状態をL,光がなく暗い状態をDと表す。自然光以外の実験ではLEDライトを用いた。オジギソウを①自然光(L12時間D12時間)②LL(24時間光を当てる) ③段ボール箱を用いてオジギソウを上部と下部に分け,上部と下部異なる光条件下(上部:自然光,下部:D18時間L6時間)に置き,就眠運動をタイムラプス機能付きカメラ(TLC200Pro)で撮影した。その後,撮影した動画を見て就眠運動の時間を記録した。自然光の条件では,光の明暗の時間と葉の開閉の時間がほぼ同じだった。LLの条件では,葉が開いている時間が長くなり,葉ごとの就眠運動の開始時間が最大で7時間40分ずれた。また,就眠運動の終了時間にも差があり,オジギソウの個体内の部位間で時間がずれていた。これらより概日リズムは部位間で独立すると考えられた。上下で与える光刺激を変えた実験では,就眠運動の終了時間に上部と下部で差がみられた。しかし,与えた光刺激と就眠運動に関係はみられなかった。このことから光刺激により個体内で概日リズムを部分ごとに変えられると考えられる。また,与えた光刺激と就眠運動に関係はみられなかったことから,(A)概日リズムは崩れている途中だった(B)茎を通して就眠物質が運ばれ、上部の就眠運動のタイミングに下部が影響されている,の二つの仮説を立てた。


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