| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-47  (Poster presentation)

ゼブラシクリッドの闘争と行動【A】
The struggle and action of Zebrashiclid【A】

*須﨑翔健(青稜高等学校)
*Shoken SUZAKI(Seiryo Senior High School)

ゼブラシクリッドの闘争における勝敗にはどの要素が関係するのだろうか。部活として飼育している本種は他の魚種と比べて闘争本能と縄張り意識が強いことが経験上わかっている。ゼブラシクリッド2尾を水槽に入れ、互いの反応を調べた。一方がもう一方を追い立てた場合、追い立てた個体を勝者とした。また、互いに威嚇する行動をとった場合、その後相手を追い立てた個体を勝者とした。その他に双方特に相手に対する行動をとらなかった場合は引き分けとした。また、今回の実験では次の4項目について考察を行った。全長、体色、体色の変化、エッグマークの数の4つである。エッグマークとは本種などが臀鰭にもつ黄色い斑点のことである。なお、雌雄同士での縄張り争いは見られなかったため、メスのみ、もしくはオスのみで実験を行った。
メス同士の実験では体色の変化がより勝敗に大きな影響を与えることがわかった。体色の変化が見られない個体と比べて、体色が変化した個体の方が勝者となる傾向が強く、体色の変化は全て明るく変化していた。これは相手を威嚇する行動だと考えられる。体色の変化の際に鰭を大きく見せる行動が見られたことからもそのことが推測できる。一方、オス同士の実験を行った場合については、目に見えた体色の変化は確認されず、全長が大きい個体の方が勝者となる傾向が強かった。これは、今回使用したメス同士に比べて全長の違いが大きく、これが勝敗に大きく関わったと考えられる。残りの項目であるエッグマークと体色は勝敗に影響がないようだった。
ゼブラシクリッドの闘争においては全長、体色の変化の順で勝敗の要素として重要になると考えられる。今回使用したメスはほぼ全長が等しかったため、体色の変化が勝敗に影響を与えたが、全長に大きな差があった場合はそちらが優先されると考えられる。これを明らかにするためにも、より多様な大きさの個体で実験をしていきたい。


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