| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P1-140

ため池の水生植物の種組成は何で決まるか?

*樋口伸介(神戸大・自然科学),赤坂宗光(国立環)中川惠(国立環),高村典子(国立環),角野康郎(神戸大・理)

本研究では、ため池における水生植物の種組成を決定する環境要因を明らかにするための調査を行った。対象としたのは兵庫県南東部の327個のため池で、2006年8〜10月にかけて、水生植物相、池水の水質(37項目)を中心に環境要因の調査を行った。その結果、301個のため池で植生が認められ、91種の水生植物が確認された。各ため池の水生植物の種組成を、TWINSPANを用いて分類した。さらにCCAを用いて序列化し、種組成を規定する主要な環境要因について解析した。

解析の結果、植物相は4グループに分類された。グループ1、3はT-N、T-P、Chl.aなど有機汚濁や富栄養化を示す環境要因に対応していた。グループ1は汚濁の少ない水域に成育する植物群であり、ミズニラやスブタをはじめ、確認された沈水植物のほとんどが属していた。グループ3は富栄養な水域に成育するウキクサ類やオニバスのほか、外来種・園芸品種が多く含まれた。グループ2はpH、透明度に対応した植物群であり、ヒメミクリ、フトヒルムシロなど、比較的貧栄養な環境に生育する植物相が出現した。グループ4は各環境要因に左右されず、全調査地点において広範囲に出現するヒメガマ、ガガブタなどが属していた。

これらのグループには、それぞれ保全上重要な種が含まれており、各種の生育に関連する環境要因が分類群ごとに異なっていることが明らかになった。この事は、希少種の有効な保全対策を立てる上でも重要であると考えられる。今後は、ため池の構造、空間的配置、周囲の土地利用状況などを環境要因として解析を行う予定である。

日本生態学会