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一般講演 P1-231

北米冷温帯針葉樹林の下層におけるツガとモミの共存機構−光獲得と光合成の視点から−

石井弘明・吉村謙一(神大院・自然科学)・E.D. Ford(ワシントン大学・森林資源)

米国ワシントン州南西部の冷温帯針葉樹林(Wind River 林冠研究施設のアメリカトガサワラ-米ツガ林)の林床では米ツガ(Tsuga heterophylla)およびウツクシモミ(Abies amabilis)の幼樹がしばしば同所的に存在する。林床の弱光環境で異なる樹種が共存するためには、同程度の光獲得効率および光合成生産を実現しているという仮説を検証した。両種は異なるシュート伸長・分枝パターンを示すが、隣接する幼樹の樹形はよく似ている。測定の結果、両種ともに葉、当年枝、枝レベルでの葉面積の重なり合いは11%程度に抑えられており、ともに高い光獲得効率を実現していることが明らかになった。また、シュートレベルの非同化器官:同化器官比(C/F比)は両種で差がなかった。米ツガの比葉面積はウツクシモミよりも高いため、葉重あたりの光合成速度は米ツガのほうが高いものの、葉面積あたりの光合成速度には種間差がなかった。米ツガの葉寿命はウツクシモミの半分程度であることから、葉の生涯光合成生産量は両種で変わらないと考えられる。以上のことから、米ツガとウツクシモミは林床の弱光環境で生存するために同程度の光獲得効率と光合成生産を実現し、共存していると考えれらる。

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