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一般講演 P1-245

初期定着期の針葉樹実生個体の光合成生産−スギ・アカマツ子葉の光合成能力におよぼす窒素養分の影響−

*白旗 学(岩手大・農),橋本良二(岩手大・農)

発芽初期段階の針葉樹では,種子中の貯蔵養分は子葉を通じ個体に供給されるため,子葉は養分供給器官と捉えられる。それと同時に,光合成系器官が未発達な段階では,子葉は唯一の同化器官でもある。本研究では異なる立地特性を持つスギとアカマツについて,発芽初期の立地養分に対する成長特性,窒素利用特性を個体内の各器官に対する窒素配分および子葉の光合成系への窒素利用に着目し検討した。スギ,アカマツ種子はグロースチャンバー内の砂耕ポットで発芽育成した(日照:14hr,250μmol quanta・m-2・s-1,昼/夜:25℃/20℃,70%RH)。養分条件は,液体肥料(ハイポネックス)を用い,高濃度(500倍),低濃度(1000倍),純水のみの3処理区を設定した。それぞれの処理区より発芽後10日,20日,30日後にサンプリングを行い,子葉,初生葉,胚軸,根の重量と窒素含有量を測定した。さらに子葉,初生葉については,クロロフィル量,Rubisco量を定量した。実験の結果,施肥の影響は個体重ではみられなかった反面,個体の窒素含有量に大きくみられ,特にスギで大きかった。成長にともなう器官別の窒素量は,子葉・胚軸で減少,初生葉・根で増加しており,特にアカマツの初生葉で大きく増加していた。スギはアカマツに比べ施肥に対する感受性が高いが窒素の器官配分の可塑性が低いことを示している。一方,子葉の光合成系窒素について検討した結果,成長にともなう窒素量減少に対しクロロフィル量の低下は初期で穏やかだったがRubisco量は直線的に低下した。このことは子葉窒素転流の際,最初Rubisco中の窒素が使われることを示唆している。また,スギはアカマツに比べ高濃度区でクロロフィル,Rubiscoとも高くなる傾向がわずかにみられたものの,種間差はほとんどみられなかった。

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