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一般講演 P2-027

LAI に基づく冷温帯半自然草原のNPP推定

*関川清広,川尻浩史,藤島理(玉川大・農),村岡裕由(岐阜大・流研センター),西田顕郎(筑波大・農林工学),鞠子茂(筑波大・院)

気象要因の年々変動に伴い,生態系のNPP(純一次生産)も変動すると考えられる.両者の関係を解析するには,長期的にそれぞれを同時モニタリングすれば良いが,気象要因に比べ,NPPのモニタリングは技術的に容易ではない.NPPは従来,積み上げ法に基づいて推定されてきた.積み上げ法は破壊的で多くの労力を必要とすることから,同一生態系での長期測定や多数の反復測定には適さない.LAI(葉面積指数)は,NPP推定の指標として有効である.LAI推定法には,サンプリングによる直接法(破壊的),葉群内の光の減衰や全天写真画像解析に基づく間接法(非破壊的)などがある.本研究では,間接法によるLAIに基づく非破壊的なNPP推定法を確立することを目的とし,草原生態系(ススキ草原)を対象に,上記3種類のLAI 推定法の比較検証を行った.直接法によるLAIと地上部NPP推定のため,毎月1回の頻度で地上部を刈り取り(1m×0.5m,3〜5反復),葉面積とバイオマスを求めた.光の減衰に基づく方法としてLAI-2000(Li-Cor)を使用し,直接法のサンプリング時に測定を行った.全天写真撮影にはPhenological Eyes Network (PEN)システムにおける自動魚眼デジタルカメラを用い(http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/),PC制御により毎日撮影を行った.ソフトウェアHemiViewを用いて,それらの画像からLAIを算出した.得られたLAIは,直接法>LAI-2000>全天写真となった.発表ではこれらデータの相互関係を解析し(補正を含む),NPP推定の可能性を論ずる.

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