| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P2-066

主成分分析と検定

粕谷英一(九大・理・生物)

主成分分析は、多くの変数からなるデータが得られている場合にもとの変数の一次式で表現される新しい変数(主成分)を使ってデータを解釈したり表現しなおす方法の1つで、生態学では幅広く使われてきた。主成分分析の結果は統計的にはサンプルから得られたいわば点推定値であり、たとえば回帰直線の傾きのようなものであるから、値そのものがわかるだけでは不充分で検定をする必要があるということも多い。多変量解析なので検定にはさまざまな種類が考えられるが、主成分をいくつかまでとるかという問題やある主成分がどの変数と関係しているのかという問題はよく出会うものである。後者は、主成分が生態学的にどのような意味を持つか(主成分の解釈)を直接扱う重要なものである。しかし、主成分がどの変数と有意に関係しているか検定されないまま解釈されることが多く、検定している例はむしろごくわずかである。これは、たとえば、ある変数と別の変数の関係を示す量の1つである回帰直線の傾きが何らかの信頼性評価抜きにそのまま使われることがほとんどないことと対照的である。主成分と変数の関係について、過去に提案されてきた検定の方法も含めて、検定しないリスクと検定法について検討する。

日本生態学会