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一般講演 P2-125

半自然草地における刈り取り処理の違いによるオオキンケイギクCoreopsis lanceolata 侵入群落の構造変化

*斎藤達也(信州大院・農),大窪久美子(信州大・農)

特定外来生物オオキンケイギクは,近年,ワイルドフラワー緑化に使用され,一部が逸出,各地の河川敷や堤防草地等で優占群落を形成している.斎藤・大窪(2006)では,本種の定着と優占が半自然草地群落の種組成と構造を改変したことを報告した.本研究では,本種の優占する半自然草地において,異なる頻度の刈り取り処理を行い,優占度と群落構造の変化を追跡し,本種侵入後の低茎草原群落における植生管理手法の検討を行うことを目的とした.

実験地は信州大学農学部構内の半自然草地で,シバ優占群落(Zj型),オオキンケイギク優占群落(Cl型),ススキ優占群落(Ms型)の3群落型から構成される(斎藤・大窪2006).2005年よりこれらの群落型に2m×2mの方形区を設定し,それぞれ無処理区(T1),6月刈り取り区(T2),6,1月刈り取り区(T3),6,9,1月刈り取り区(T4)を設定した(Zj,Ms型;2反復,Cl型;3反復).植物体は根際で刈り取り,方形区外へ運び出した.植生調査を2005年6,9月,2006年1,6,9月に実施し,同時期に群落下層の相対光量子密度と土壌含水率を測定した.

処理前の2005年と翌年の6月のオオキンケイギクの優占度(被度と植物高の積)を比較すると,Zj型のT1で増加,T2で変化なし,T3,T4で減少傾向だった.Cl型のT2で変化なし,T1,T3,T4で減少傾向だった.Ms型のT2,T3,T4では増加,T1で減少した.オオキンケイギクの群落内での相対的な地位はZj型のT1で増加,他ではほぼ変化なし,Cl型の全処理区でやや減少した.群落下層の相対光量子密度は刈り取り頻度の高い処理区ほど高かった.また,Cl型ではT2,T3,T4で低茎草原生の匍匐形や偽ロゼット形等の小型植物が増加傾向にあった.大会では群落構造の変化について詳説する.

日本生態学会