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一般講演 P2-138

ケニア共和国中央丘陵・山地部における植生生態学的研究

*古川拓哉,藤原一繪(横国大院・環境情報),Simon Mathenge,Samuel Kiboi(Univ. of Nairobi),宮脇昭(国際生態学センター)

ケニア共和国は国土の約8割が乾燥・半乾燥地で、森林は国土の2%しかない。最大の森林地帯は中央の丘陵・山地部、標高約1500mから3000mに分布する。同国の森林は都市域拡大、伐採、農耕、過放牧などにより急速に荒廃・減少しており、保全・回復の必要性が高い。

熱帯・亜熱帯の生態系は長い乾季を持つものが大半だが、熱帯雨林など湿潤な生態系に比べるとその研究は不十分である。ケニアでは雨季は年二回あり、6月から10月にかけて長い乾季が訪れる。熱帯雲霧林の年平均降水量は約1500mm、熱帯乾燥林は約1000mm、そしてより乾燥した裾野にサバンナが広がる。これは東南アジアなど他の湿潤な熱帯域の垂直分布とは全く異なり、東アフリカなどごく限られた地域特有である。

本研究では、乾燥地に囲まれたケニア中央山地の森林の構成や特性を明らかにすることを目的とした。植物社会学的植生調査、毎木調査、土壌調査を行い、同森林の群落類型化及び種組成や構造、立地環境の解明を行った。

結果、標高3000m付近の雲霧林上部ではPodocarpus latifolius-Arundinaria alpina群落、標高2000〜2400ではMaytenus heterophylla-Nuxia congestaTabernaemontana stapfiana-Lasianthus kilimandscharicusの2群落、標高1600〜1900mの乾燥林ではBrachylaena huillensis-Teclea simplicifolia群落に分けられた。

日本生態学会