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一般講演 P2-202

マングローブ干潟におけるヘナタリのサイズ頻度分布の季節変化

*平田今日子(鹿児島大学理学部多様性生物),冨山清升(鹿児島大学理学部多様性生物)

ヘナタリCerithdea cingulata (Gmelin.1790)は、フトヘナタリ科に属する巻貝で、内湾の干潮帯に生息する。 そのヘナタリにおける季節のサイズ分布変動を調査研究した。 調査は鹿児島県鹿児島市喜入町を流れる愛宕川の河口干潟(23°23′N,130°33′E) 調査区の設置はマングローブ林の植生がないところから愛宕川の下流に向かいそれぞれ調査区を約20mの間隔を空け2カ所設置した。調査方法は2005年1月〜2005年12月の期間に毎月1回、大潮または中潮の日の干潮時に調査区内の個体採集を行った。各調査区に50×50cmのコドラート内の砂泥を深さ2cmまで掘り、掘りあげた砂泥を1.5mmのふるいで洗い流し、サンプル中の出現個体数を記録した。また、ヘナタリについてのみ殻幅を0.1mm単位で計測した。

サイズ頻度分布の季節変化結果から、各stationとも2〜4月は10mm下の稚貝でピークをつくっているが夏季を過ぎる頃から成貝のグループに加入していった。種間関係を排他性尺度ω指数で比較した。結果はヘナタリーウミニナは年間を通じて数値がマイナスを示す月がほぼ見られなかったのに対して、ウミニナーカワアイ・ヘナタリーカワアイは年間を通じて数値が大きいもので-0.4までだがマイナスを示す月が多く見られた。これらの結果より各stationでのヘナタリは2月〜4月にかけて10〜11月に新規加入した個体が多く出現するようになり、6月以降成長していることがわかった。また、それらの稚貝は成長し15mm以上の成貝グループに融合されていくと考えられる。カワアイの関しては不規則に出現するため季節に関係ないと考えられる。ω指数の結果より、ヘナタリとウミニナは類似の棲息場所を好むことがわかった。

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