| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P2-235

長野県伊那盆地におけるダルマガエルの冬眠状況

*水野敦(信大院・農),大窪久美子(信大・農),澤畠拓夫(当間高原リゾート)

ダルマガエルRana porosa brevipodaの冬眠状況を把握するため,長野県上伊那郡南箕輪村の水田において冬眠個体の掘り取り調査および耕起追跡調査を行った.

掘り取り調査では,水田の畦畔および本田内に1m×1mの調査枠を複数設置し,地表からの深さ20cmまで掘り取りを行い,カエル類の冬眠個体を探した.2004年度は水田1筆において畦畔11枠,本田内3枠の掘り取りを行い,ダルマガエル12個体,アマガエル4個体が発見された.2005年度は水田2筆において,合計で畦畔15枠,本田内5枠の掘り取りを行い,ダルマガエル3個体,アマガエル2個体が発見された.2006年度は現在まで,水田1筆において4畦畔各5枠の計20枠,本田内1枠の掘り取りを行い,ダルマガエル12個体,アマガエル8個体が発見された.カエル類は各年度とも全て畦畔で発見され,本田内での発見はなかった.ダルマガエルは深さ2.5−16.0cmの深さで発見され,アマガエルは深さ0.5−2.5cmの深さで発見された.

耕起追跡調査では,春季,秋季の水田耕起時にトラクターの後を追跡し,掘り起こされたカエル類個体の特徴を記録した.2005年4月は水田14筆の耕起に立会い,ダルマガエル55個体とアマガエル6個体を捕獲した.同年11月は水田18筆の耕起に立会い,ダルマガエル12個体を捕獲した.

ダルマガエルは水田の畦畔を主な冬眠場所としていると考えられた.春秋の耕起時には本田内に小数の個体が確認されており,潅水期前に移動している可能性が考えられた.今後掘り取り調査を継続し,冬眠環境とあわせて発表を行う予定である.

日本生態学会