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一般講演 P3-033

3つの多様度指数:海草藻場の生態系機能の指標となるのはどれか?

*山田勝雅(千葉大・自然科学), 堀正和(瀬戸内水研), 田中義幸(東大・海洋研), 長谷川夏樹(北水研), 仲岡雅裕(千葉大・自然科学)

生物多様性と生態系機能の関係 (BD-EF)の一般的解明が生態学の主要課題として認識されている。北海道厚岸湖の海草藻場では、出現するすべての生物の機能群多様度と生態系機能 (海草の生産量)には有意な相関が見られることが明らかになっている (堀ら ESJ53を参照)。先行研究では、植食者群集は1つの機能群にまとめられているが、海草藻場の植食者については、餌種(海草・付着藻類・デトリタス)、摂食様式、マイクロハビタットなどについて、種間差が大きく、これらの違いに基づいて更に下位レベルの機能群 (sub機能群)に分割することが可能である。このように機能群構造は階層的に形成されていると考えられ、その多様性と生態系機能の関係性を示すには、新たなアプローチが必要である。

そこで本研究は、海草藻場における植食者群集について、種、高次分類群、ハビタット (海草とのassociation)を基準に分類した3種の機能群 (Sub-functional group)における多様度指数と生態系機能との関係を示し、そのメカニズムについて検討した。生態系機能の指標は、植食者群集の間接的な効果を示す指数 (例えば海草の生物量・生産量)ではなく、直接的な効果を示す指数 (例えば植食者群集の生物量・生産量・摂餌量)とした。現場データの重回帰解析の結果、3つの指数間で生態系機能への寄与の有無や程度に違いがみられた。講演ではこれらの違いからBD-EFのメカニズムを検討する。また、得られた結果を基に、新たに提唱されている他の多様度指数の有用性についても検討する。

日本生態学会