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一般講演 P3-046

多島地帯における節足動物の群集構造

村上正志,平尾聡秀(北大・苫小牧研究林)

群集形成に影響を及ぼす要因として,移入・分散の重要性が指摘されている.このような考えは,島の生物地理学(island biogeography)に端を発するものであり,局所群集間の移入・分散によって,メタ群集の構造が決定されるとしている.様々な系で,移入・分散の効果を検証する研究がみられるが,ほとんどは連続的な生息場所で行なわれており,局所群集の設定が恣意的であるという問題点がある.島の生物地理学が当初「島」を対象として体系化された背景も踏まえ,このアイディアを島嶼生態系において検証する意義は大きいと考えられる.本研究の調査地であるバハマは,2000以上のサンゴ礁島からなる。ここでは、Schoenerらが,MacArthur & Wilsonの論文に刺激を受け,島に生息するトカゲや鳥類の種数と島サイズの関係など,島の生物地理学に基づく研究を行っている.したがって,多くの島について,様々な基礎的情報が得られているという点で,調査地として適当である.調査は,バハマ島嶼域の30の島(面積約50m2-1.5km2)で行なった.各島にマレーゼトラップを設置し飛翔性の昆虫を採取した.そのうち25の島では,島に分布しているほぼすべての植物種でビーティングにより節足動物を採集し,それぞれの島における節足動物の種数と個体数を調査した.これらの情報に加え,島の位置やサイズ,最上位捕食者であるトカゲの有無,など,各島に関する既存のデータを用いて,島の生物群集の形成に,島間での移入・分散が与える影響を検討した.

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