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一般講演 P3-238

中国ホルチン砂地における耕地の管理・立地・作物種の違いにもとづく雑草群落タイプの類型化

*宮坂隆文(東大・農),趙哈林,趙学勇(中国科学院沙漠研究所),武内和彦,大黒俊哉(東大・農)

砂漠化地域における耕地生産性の低下を地域の農業システムに即して評価することは,持続的な土地利用計画の指針となる.しかし,上記生産性の低下を実用的に指標しうる植物に焦点をあてた研究は少ない.本研究では,中国内蒙古ホルチン砂地における典型的な耕作地タイプに着目し,成立雑草群落の相違および作物生産量と種組成の経年変化をタイプごとに捉えることを目的とした.

現地踏査およびインタビュー調査により,22箇所の耕作地の管理方式・地形立地・栽培作物種を調べ,それらの組み合わせから対象地域において典型的と考えられる耕作地タイプを選定し,植生(雑草・作物)調査を行った.また,あわせて各耕作地の耕作期間も調べた.

その結果,耕作地タイプは灌漑を行っている低平地のトウモロコシ畑(Aタイプ),灌漑を行っている丘間低地のトウモロコシ畑(Bタイプ),灌漑を行っていない川沿いの低湿地におけるトウモロコシ畑(Cタイプ),灌漑を行っていない砂丘地のローテーション畑(マメ類,コムギ,ミレットなどの輪作,Dタイプ)の4つに分類され,それぞれの地形立地を指標する雑草群落の成立が確認された.

トウモロコシ畑では継続的な耕作によって作物量が減少し雑草の量が増加する傾向が見られ,ローテーション畑では雑草・作物量が共に減少する傾向が見られた.トウモロコシ畑では,作物の量的減少に伴う光・養水分競合力の低下によって雑草がより発達したと考えられたが,ローテーション畑ではむしろ栽培作物種のサイズに起因して,作物量の低下が裸地化とそれに続く受食性増加をもたらし,雑草も減少したと考えられた.

全体的には,耕作期間に沿ってイネ科が優占化する傾向が認められた.A・C・Dタイプでは特に一年草が増加したが,Bタイプでは多年草の増加が顕著に見られた.

日本生態学会