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公募シンポジウム講演 S06-2

シデコブシの生態遺伝学:遺伝子流動と近交弱勢の解析

戸丸信弘(名古屋大学)

シデコブシ(Magnolia stellata)は東海地方の湿地に生育する絶滅危惧樹木(絶滅危惧II類)である。この地方では、道路・住宅建設や貯水池造成などの人為的要因と遷移の進行によって湿地の縮小・消失が進んでおり、シデコブシ集団の孤立小集団化が進んでいる。遷移の進んだ孤立小集団では、少ない個体数と縮小した開花・種子生産を通して、近親交配による近交弱勢、遺伝子流動の減少、人口学的確率性、アリー効果などにより絶滅リスクが高まると考えている。私たちの研究グループでは、シデコブシを保全するための基礎研究として、メタ集団構造が壊されて、孤立小集団化したときにどのような影響が生じるのかを、特に近交弱勢と遺伝子流動の程度に着目して研究を行ってきた。これまでの研究成果を報告するとともに、その研究成果を踏まえて、シデコブシの保全のあり方について議論する。

日本生態学会