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自由集会 W20

タケは里山の厄介者か? −竹林の拡大と環境への影響−

企画者:鳥居厚志(森林総研) 奥田史郎(森林総研),豊田信行(愛媛県林業技術センター)

 近年,西日本の里山地域を中心にモウソウチクなどのタケ類が自然に分布を拡大し,周囲の二次林や人工林,耕作地へ侵入する現象が顕著に観察されている。これまで,拡大の実態やその要因,拡大速度などに関して報告がなされ,次第に拡大の概略が明らかになってきた。しかしタケ類は,元々タケノコや竹材を採取するための栽培植物としての側面が強く,自然生態系の構成要素という見方が少なかったために,まだまだ生理・生態特性についての基礎データは不足している。

 一方,竹林の拡大による周辺環境,とくに森林の持つ多面的機能への影響が懸念されているにもかかわらず,その影響を評価・予測する試みはほとんどなされていない。たとえば,周辺の植生,昆虫,動物相への影響や水源函養機能,土砂崩壊防止機能への影響,景観に与える影響など解明すべきテーマは多岐に渡っている。

 ここでは,これまで明らかになってきた竹林の拡大の実態を整理するとともに,拡大の影響について若干のアプローチ結果をもとに問題点の摘出や今後の研究の方向性について議論する。

日本生態学会