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ESJ58 企画集会 T18-3

森林で閾値な話:強度の薪利用が引き起こす植生の閾値的変化とその管理

*古川拓哉(横浜国大・環境情報), 藤原一繪(横浜市大・生命ナノ), Samuel K. Kiboi, Patrick B. Chalo Mutiso(University of Nairobi)


生態学的閾値の保全・再生における有用性が語られる中で、強い伐採圧を受ける森林生態系における閾値の応用例はあまり多くない。一方で、途上国貧困層の多くは森林から得られる薪炭に強く依存しており、森林の面積減少や荒廃が懸念されている。閾値の汎用性を検証するために、本発表では生態学的閾値の応用例として、ナイロビ都市林において薪利用の伐採傾度に沿った下層植生の閾値的変化を検証した例を紹介する。

撹乱傾度に沿った種組成の閾値的変化について検証したところ、居住地から約350m、林冠開放度約70%で、ギャップ群落から外来種の有刺低木群落への閾値的変化が検出された。薪利用は特定の資源(種)を選択的に利用するため、偏った人為インパクトの影響を利用樹種の選好性別に評価したところ、種組成の閾値的変化に伴って起こった生活形の変化と対応付けることが出来た。結果、外来種の増加と高木種に偏った人為インパクトが下層植生の閾値的変化に関与している可能性が示唆された。また、中規模撹乱仮説における中規模な撹乱強度と閾値を比較したところ、閾値は中規模な撹乱強度を超えて起こると考えられた。最後に、閾値と中規模な撹乱強度を指標とした植生の修復や予防的管理など、生態学的閾値の森林資源管理への応用を考察する。


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