| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) A1-12

石の隙間スケールにおける河川性魚類の生息場所利用

*佐川志朗(土研・自然共生セ),矢崎博芳(岐阜県郡上土木),秋野淳一(土研・自然共生セ),萱場祐一(土研・自然共生セ)

河川に堆積する石により形成される石の隙間(間隙)は魚類の生息場所として機能している.我が国では,魚類の生息場所を確保するため,間隙機能を付加した環境保全型の護岸ブロック,間隙の多い根固工(捨石工)等が力学的設計法に基づき河川改修に導入されてきた.しかし,魚類の生息を満たすための設計方法は,魚類の間隙の利用特性に関する知見が乏しいため確立されていない.本研究では,石の隙間スケールでの魚類の利用特性を把握し,構造物の設計に反映させることを目的とし,大規模実験水路を用いて,オイカワ,タモロコおよびフナ属の流量安定時の利用間隙の位置的,物理環境的特徴と増減水による間隙利用個体の挙動を調査した.水路は,長さ25.0m,幅1.6mに改修し,大礫および巨礫(径20-35cm)を水中部の目視が可能な左岸側のアクリル面から0.8m幅に敷き詰めた.調査の結果,各種ともある定位置間隙への経時的な定着性はほとんどみられなかったが,利用する間隙の位置には種特異性がみられた.すなわち,オイカワは流心側の上層付近の,タモロコは水際側の中層付近の,フナ属は流心側の下層付近の間隙を利用した.オイカワは流量増加時には間隙から脱出し,間隙直上部の水塊部で卓越したが,流量減少時には再び間隙の利用個体数が増加した.タモロコは流量増減時とも,間隙の利用個体数が増加した.一方,フナ属は流量増減時とも間隙から脱出する傾向が確認された.以上のように,魚種ごとに利用する間隙の位置には特徴がみられ,流量増減により挙動も異なることが示唆された.従って,多自然川づくりにおける環境ブロックや捨石の設置は,対象河川の河道特性とフローレジームを考慮してデザインされる必要がある.

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