| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) A2-05

国際協力分野COEの分担での生態学の成果

中越信和(広島大・院・国際協力)

広島大学が21世紀COEプログラムに応募して、2003年度に採択されたプログラムに「社会的環境管理能力の形成と国際協力拠点」がある。本研究拠点形成は途上国における社会的環境管理能力の形成をキーワードとした文理融合型学際研究を途上国の研究機関等と共同で展開することにより、国際協力の新たな研究領域を構築することを目的としている。本発表は演者が当初手がけた仕事の報告である。演者は当初都市生態系調査班の班長として、東アジアの途上国の都市緑地の、過去からの変化、現在の分布様式、将来計画との整合性などについて研究を行ない、対象国の緑地管理者や計画者に研究成果を伝えこととした。中国の斉南市、ベトナムのハノイ市、インドネシアのジャカルタ市での成果を述べる。3都市で共通することは、緑地面積の減少と緑地の分断であった。また、現在の緑地の分布状態を詳細に検討することで得られた結果から、適性の緑地計画を独立に立案してみた。そして各都市が有する都市計画の中での緑地の将来計画と比較し、その差異を抽出した。斉南市では、緑地面積の減少を補完するためには、核となる大規模緑地の保全とそことの緑地ネットワークが必要なことが判明した。ハノイ市では散在する緑地の将来計画での評価が異なること、またその差異を埋め合わせることができる緑地ネットワーク形成の案を提案することができた。ジャカルタ市では、将来計画は量的増加を目標とするものの、場が特定されていなかったので、現在の緑地が保全されるという前提で、緑地ネットワーク形成のための思案を作成した。これらの結果を国際誌で公表し、これをもとに各市の緑地担当者や関係する当該国の研究者と意見の交換を行なった。この段階で、COEプログラムでの一応の目的を達成できた。

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