| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) B2-04

伊勢湾櫛田川河口域における塩生湿地の環境要因と生態系機能評価

野原精一,井上智美,広木幹也(国環研)

【はじめに】環境アセスメントの際の総合的な定量評価手法の開発を目的とし、干潟・塩生湿地の生息環境評価のため底生生物の生息環境を環境因子ごとにHSIモデル化を行った。調査地として土砂の堆積によってその生育環境(地盤高、底質等)が変質し、底生生物(水産資源)の減少が近年危惧されている河口域を選択した。 【調査地及び方法】2007年4月15日〜20日の大潮時に伊勢湾櫛田川河口域で調査を実施した。各生物優占区において干潮時に方形枠(1m2枠)を用い主要底生動物の個体数を目視観察した。さらにGNSS測量器及び光波測量器によるcmレベルの地盤測量、底質環境調査を実施した。 【結果及び考察】平均的にアサリは標高−0.5mに0〜76個体/m2、ホソウミニナは標高±0mに9〜528個体/m2、ヘナタリは標高+0.3に0〜404個体/m2、フトヘナタリは標高+0.6mに10〜148個体/m2、チゴガニは標高+0.2mに0〜52個体/m2、コメツキガニは標高+0.5mに0〜44個体/m2、アシハラガニは0〜9個体/m2、各最適地に分布していた。ハママツナ区での主要ベントスの出現種は少なかった。各優占種は地盤高に代表される環境傾度によって生息域が良く推定でき、生息域の評価としてHSIモデル化が可能になった。

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