| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) C1-06

河川敷における自然攪乱と人為攪乱が植物の出現に与える影響 −連年モニタリングによる評価−

*石田真也(新潟大院・自然科学), 稲川貢(国土交通省信濃川河川事務所), 野口将之(建設技術研究所), 紙谷智彦(新潟大院・自然科学)

河川中下流域に広がる河川敷は,しばしば田畑として利用される. そのような河川敷と, 自然条件下にある河川敷とでは, 形成される植物種組成が異なる. 本研究では, 洪水による自然攪乱と土地利用による人為攪乱が, 河川敷における植物種の出現に与える影響を3年間に渡る連年モニタリングによって評価した.

調査地は新潟県長岡市, 燕市の信濃川河川敷である.河川敷内で相観植生が異なる人為攪乱サイト, 自然草地サイト, 中州サイトを抽出した. 前者の2サイトには250mの調査ベルトを2本, 中州サイトには475mのベルトを1本設置し, 5m間隔で1m × 1mの調査枠を設けた. 2004, 2005, 2006年の3年間, 各調査枠において出現した植物種名を記録し, 環境要因(土壌水分, 河川からの比高, 河川からの距離)を計測した. 調査は2004, 2006年は初夏季に, 2005年は秋季に実施された. また, 2006年には大きな自然攪乱, 人為攪乱は共に発生しなかった.

3年間で人為攪乱サイトに出現した植物種は他のサイトとは大きく異なった. 各年における各植物種の出現頻度を因子とした主成分分析の結果, 各サイトにおける植物種組成の時系列的相違は, サイト間での環境的相違に比べて,はるかに小さいことが示唆された. 各年における環境要因と植物種組成の関係を, Canonical correspondence analysisを用いて解析した結果, 各年ともに同様の傾向の序列が得られた. 以上の結果をもとに, 自然攪乱と人為攪乱によって維持される河川敷の植物種組成の特性を機能的に説明する. 併せて, 河川敷における効果的な植生評価方法を提案する.

日本生態学会