| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) C2-05

長崎県五島列島青方ダムにおけるオオクチバスの食性とその季節変化

*白岩豊和(広大・教),鳥越兼治(広大・教)

オオクチバス(Micropterus salmoides)は,北アメリカ大陸から人為的に移入された外来種である.本研究では,長崎県五島列島中通島の青方ダムにおける本種の食性を明らかにすることを目的とし,2006年7月から2007年7月までの一年間,食性に関する調査を行った.

その結果,年間を通して,オオクチバスの体長に関わらず,小型甲殻類のミズムシ(等脚目)が主要な餌として捕食されていることが明らかになった.これは,オオクチバスの成魚が,魚類や大型の甲殻類を主要な餌とするというこれまでの報告とは異なるものである.青方ダムには,魚類や大型の甲殻類が少ないことが明らかになっている.これらのことから,オオクチバスは,餌となる大型の生物が乏しい環境においても,小型の生物を餌として生育・繁殖が可能であると考えられる.同様の現象が,生物相の貧弱な環境において起こっていると推測され,オオクチバスは,魚類や大型の甲殻類が生息していない環境においても十分に生息できる可能性がある.

日本生態学会