| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) F1-07

何がニジカジカAlcichthys elongatusの父性に影響を与えているのか?精子数および交尾順番の実験的検証

*八幡知基(北大院・環境科学)・宗原弘幸(北大・FSC)

これまでに精子競争の勝敗は精子数、交尾順による卵と精子の位置、排卵のタイミング、精子の特徴と言われている。交尾型の海産カジカであるニジカジカAlcichthys elongatesは、なわばり訪問型複婚であり、メスは複数のオス由来の精子が卵巣に混在するにもかかわらず、最初に交尾をしたオス(First male以下Fオス)の子を多く残すことが実験的に確かめられている。なぜ、Fオスが多く子を残すのであろうか?最初に交尾をしているので卵と精子の位置が関係しているかもしれない。あるいは、Fオスは精子数が多いだけなのかもしれない。そこで本研究では交尾順番が父性に効いていると仮定してこれを検証することを目的とした。未交尾のメスを採集し産卵のたびに順次等量に精子数を調整した各オスの精液を人為的に注入した。精子注入後に産卵した卵は孵化させ、孵化仔魚の父性を調べた。2個体の未交尾メスが産卵した孵化仔魚の父子判定の結果、1個体はFオスの次に精子を注入したオスの子のみであった。もう1個体はFオスの子のみであった。本講では相反した結果について考察する。

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