| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) H2-01

逆数式による樹木個体呼吸と重量の一般化

森茂太(森林総研東北),山路恵子(筑波大),諏訪錬平,A.T.M. Rafiqul,萩原秋男(琉球大),S.G. Prokushkin, O.V. Masuyagina,O.A. Zyranova, A.P. Abaimov(スカチョフ森林研),上田龍四郎(北海道ダルトン),宮城健,金城勝(沖縄研森林資源研),石田厚,西園朋広,梶本卓也,千葉幸仁,松浦陽次郎,藤間剛,荒木眞岳,川崎達郎(森林総研),小池孝良(北大), Marjnah Umari(ムラワルマン大)

「生物個体呼吸」と「個体サイズ」の関係解明は生命科学のセントラルドグマとして、Nature, Science, PNAS誌などで「Metabolic/Universal Scaling」研究として繰り返し議論されてきた。現在、個体呼吸Rと個体重Wの「R=aW^b, (a、b係数)」関係には、篠崎吉郎の「パイプモデル」をベースにアリゾナ大のEnquistモデルでは「b=3/4」、ミネソタ大のReich推定では 「b=1」が主張され、理論的研究を中心に激しい論争は継続している。しかし、従来の手法では、両対数軸上での微妙な傾き「b」の確定は困難との指摘もある。

そこで我々は、これまで測定不可能であった発芽実生から巨木まで「根を含む全樹木個体の呼吸」を「ほぼ全ての個体サイズレンジ」、「多数個体」で、「正確」に測定する方法・装置を開発した。材料はアジア・ユーラシアの赤道〜北極圏永久凍土地帯まで全ての森林植物帯の野外で、被陰され枯死寸前のもから優勢個体まで選択し、その重量幅は約10億倍、樹齢幅は1ヶ月から約240年、個体数は約250個体、約60種であり、すべて同じ測定原理を用いた。広いサイズレンジをカバーするため大小数十の装置を自作した。地上部は非破壊測定も併用して、切断の影響が無いことも明らかにした。その結果、従来の主張とは有意に異なる逆数式が成立した。

日本生態学会