| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-035

ナイロビ近郊の熱帯乾燥林における撹乱強度の違いによる種組成変化

古川拓哉, 藤原一繪 (横国大・環情), Kiboi, S., Mathenge, S.G., Mutiso, P.B.C. (Univ. of Nairobi)

熱帯乾燥林は熱帯森林域の40%をも占めるとされ、人口密度の高い地域と分布が重なることもあり、世界で最も破壊の進んでいる生態系の一つといわれる。しかし湿潤熱帯林に比べ科学的関心がこれまであまり注がれてこなかったため、攪乱後の植生動態の研究例もほとんど無い状態である。

熱帯乾燥林が分布する東アフリカのケニア共和国でも森林の減少・荒廃が進んでいる。首都ナイロビ近郊の森林でも有用樹種の違法伐採や近隣スラムの住民による薪炭収集により、保護区内でさえ森林の荒廃が進んでいる。特に違法伐採で優先的に狙われるのは優占構成種の一つであるBrachylaena huillensisである。同種はキク科ながら最大樹高30mという珍しい高木種で、彫刻産業で重宝されることなどから乱伐が進み、成木の存在する森林はケニア国内ではナイロビ近郊だけに残される。

そこで本研究ではナイロビ近郊の森林保護区Ngong Road Forestにおいて、攪乱強度の異なるプロットを25箇所林内に設置し、毎木調査(DBH>5cm)、ポイントコドラート調査(植生高<1m)、全天写真撮影、伐採痕の調査を行なった。そこから攪乱強度と伐採後のおよその時間経過によりどのように草本層の種組成が変化するか検証した。伐採後のおよその時間の推定には伐採痕の古さの階級を用いた。最後にB. huillensisが自然回復する可能性があるか、また外来低木種(Lantana camaraなど)の進入が回復を阻んでいるかなどを考察した。

日本生態学会