| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-156

モツゴの採餌と成長に溜池の低酸素はどのような影響を及ぼすか

*浅原宏子(弘前大・院・農学生命科学),佐原雄二(弘前大・農学生命科学部)

モツゴは青森県内に広く分布している小型淡水魚であり、夏季低酸素になる溜池にも適応し、生存することができる。2006年9月下旬から10月上旬と2007年9月中旬から10月上旬にかけて6箇所の溜池で魚を採集し、それぞれの溜池に生息するモツゴの体長を計測・比較した。その結果、夏季に低酸素条件となる溜池の当歳魚のサイズ分布は低酸素にならない溜池よりも小さい方に偏っている事がわかった。

野外では、モツゴが低酸素回避のため水面にとどまり、酸素の豊富な水面の極薄い層を利用しているのが観察されている。

以上より、夏季の低酸素がモツゴの採餌活動を阻害し、成長を妨げる原因となっていると予測された。

2006年6月・8月・11月の計3回、モツゴの採餌内容と生息環境の酸素条件の関係性を明らかにするため、夏季早朝に厳しい低酸素条件となる溜池と、低酸素にならない溜池とで3時間から4時間おきに27時間連続採集した。採集した個体はすぐに過麻酔にかけ、ホルマリンで固定し、解剖によって採餌内容・消化管充満度の周期的変化を調査した。

解剖結果から、モツゴの採餌はほぼ日中のみに限られる事が確認された。また、生息環境の酸素条件に関わらず、採餌内容・消化管充満度に大差は見られなかった。

日本生態学会