| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-172

石狩川流域におけるムクドリの行動圏利用の長期調査

*竹中践・竹中万紀子(北海道東海大)

本調査では、石狩川流域、千歳川との合流地点から当別川の合流地点をおおよその範囲とする石狩川右岸側の水田と畑を主とする区域に、約50kmのセンサスルートを設定して、ムクドリ(Sturnus cineraceus)の出現を記録した。本研究の群れ出現とねぐら形成の年間季節変化については、本学会第41回大会において発表した。

本調査では、自動車で移動してのセンサスを1994年から2003年の5月〜10月に毎月4回行った。なお、4月以前および11月以後も調査を行っているが、出現し始めと出現し終えの時期に年変動があることから、分析からはずした。また、2004年以降もセンサス実施頻度を変えて調査を継続している。センサスは、ルートを約500mの区間に分けた出現位置、群れの羽数等を記録した。各センサスは午後1時から2時にスタートし、約2時間で1周した。

ムクドリは、春の出現し始めから繁殖に入り、その時期は1、2羽での行動が主となる。6月頃から巣立ちが始まり、群れが大きくなっていく。数十羽の群れの出来はじめは、幼鳥への給餌が継続しており、家族群が内在している。その後、7月頃に調査地の中央南端または中央北端に位置するねぐらが形成され、群れ行動は、ねぐらとの行き来を中心とした採食行動が主となる。区域を分割しての分析では、調査地の東部分で、5羽以下の繁殖行動を中心とした群れの出現頻度が高く、100羽以上の集団採食群は調査地中央部分あるいは小河川の周辺で出現頻度が高い傾向があった。また、ねぐら位置、大きな集団採食群の出現位置は固定してはいなかった。なお、1998年に、出現群数の大きな減少があったが、その後回復するような変動が見られた。

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