| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-173

水田におけるチュウサギの食物探索経路

*天野達也(農環研・生物多様性), 片山直樹(東大・農)

空間的に不均質な環境では多くの生物は資源分布について情報が不完全なため、資源の探索方法によって適応度は大きな影響を受ける。生物の生息環境はしばしば階層的な空間構造を持ち、動物がどのような意思決定則に基づいて採食しているのかを理解するには、個体が環境を認知している空間スケールを考慮した上で意思決定則を明らかにする必要がある。近年、多くの生物で幅広い空間スケールに渡って食物探索経路を明らかにすることが可能になってきているが、これまでのほとんどの研究では、それらの食物探索様式をもたらす個体の意思決定則については明らかにされてきていない。

そこで本研究では、水田を主な採食地とするチュウサギに注目し、1.空間スケールによってチュウサギの食物探索様式が異なるか、2.それらの食物探索様式は個体のどのような意思決定則によってもたらされるか、という2点について明らかにすることを目的とした。

調査は霞ヶ浦南岸の水田地帯で4-6月に行った。GPS・レーザー距離計システムを用いて、チュウサギ32個体の食物探索経路を1分間隔で約1時間詳細に記録し、同時に直接観察によって個体が採食した食物の種類、サイズ、時間を記録した。

First-passage time分析を用いて各個体の食物探索経路を解析したところ、チュウサギは10mから135mの空間スケールで採食努力を集中させていたが、この空間スケールは季節が進むにつれて小さくなる傾向にあった。採食努力を最も集中させていると検出された区域ではその他の場所でよりも採食効率は高く、効率のよい採食を行っていることが示唆された。発表では、これらの食物探索様式をもたらす個体の意思決定則について、採食効率とその後の移動経路の関係から検討した内容も紹介する。

日本生態学会