| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-226

里草地における多様性ホットスポットー稀少植物はどこにいるのか?ー

*丑丸敦史・植松裕太・古賀達郎・大澤剛士(神戸大)・出口詩乃(東京大)・三橋弘宗(兵庫人博)

里草地における多様性ホットスポットー稀少植物はどこにいるのか?ー

*丑丸敦史・植松裕太・古賀達郎・大澤剛士(神戸大)・出口詩乃(東京大)・三橋弘宗(兵庫人博)

これまで多様な草原性草本種の生育地となってきた里草地(水田・畑・ため池・小川等の畦畔)等の二次草原では、近年、管理不足や圃場整備の拡大による生育環境の変化にともなって数多くの植物種がその数を減らしている。里草地は様々な景観要素(棚田、平田、ため池、畑、二次林際)にまたがって存在している。それぞれの景観要素によって、またここの場所によって管理者・管理方法・管理コストが異なっているため全ての里草地を同様に保全対象とすることはときに困難である。そのため、比較的狭い範囲の里草地であっても保全努力を集中すべき絶滅危惧種が集中する場所(生物多様性ホットスポット)を明らかにすることが必要となる。

この研究では、兵庫県宝塚市西谷地区の里草地においてキキョウ、カキラン、オミナエシ等日本各地で減少が報告されている33種(環境省指定と5つ以上の都道府県で指定)に関して分布を踏査し、在データとして地理情報システム解析と統計解析を行った。その結果、ほとんどの種の分布は里草地内でも棚田部に集中していることが明らかになった。全国的な傾向同様、西谷地区でも棚田部は、アクセスがしずらい・急傾斜であるなどの理由から放棄され安い傾向にあり、里草地におけるホットスポットとなっているといえる。

さらに今回の研究では、全国的にはまだ顕著な減少がみられず、西谷地区でも比較的多く分布しているワレモコウとノアザミについてこれらの稀少植物との分布の重なりについて調べ、これらの種が里草地のホットスポットの指標種となりうるのか検討を行った。

日本生態学会