| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-008

Battle of flowers: 送粉者誘引戦略の進化に関する数理モデル

*江副日出夫(大阪府大・理・生物), 倉本睦子(大阪女大・環境理学)

動物媒植物が他殖による繁殖成功度を高めるためには、潜在的な送粉者群集の中からなるべく送粉効率のよい送粉者を誘引するような誘引構造を作るのがよいと予想されるが、送粉者の効率は送粉者を誘引する植物群集中の種間競争の強さに依存していると考えられる。すなわち、競争が無い場合には効率の良い送粉者であったとしても、競争が強ければ送粉者の忠実度が下がるので送粉効率は悪くなり、他の送粉者を利用したほうがよくなる場合もあるだろう。今回の研究では、2種の動物媒植物が2種の送粉者の誘引をめぐって競争すると仮定した数理モデルにより、各々の植物の進化的に安定な送粉者誘引戦略を求めた。このモデルでは、各々の送粉者に対する誘引の効果にはトレードオフがあると仮定する。ある植物個体を送粉者が訪れる確率は環境中の送粉者密度とその植物の相対的な誘引努力によって決まり、また、ある植物を訪れた送粉者が同種の植物を連続して訪れた場合にのみ受粉が成功するとする。環境中における植物および送粉者の密度、トレードオフの関数形を変化させてESSの変化を調べた結果、トレードオフ関数が下に凸の場合は各々の植物が別々の送粉者に特化する傾向があったが、植物の相対密度の差が大きい場合は、密度が小さい植物だけが特殊化する場合もあった。一方、トレードオフ関数が上に凸の場合は両方の送粉者誘引へ投資する傾向があった。さらに、より個体数が多い植物が密度が小さい送粉者のほうに特殊化し、逆に密度が小さい植物が密度が大きな送粉者のほうに特殊化するという一見奇妙な平衡状態も生じる可能性があることがわかった。

日本生態学会