| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-262

流域圏の生態系機能評価を目指した冷温帯常緑針葉樹林におけるモデルシミュレーション

*斎藤琢, 玉川一郎, 村岡裕由, 吉野純, 小泉博

岐阜大学21世紀COEプログラム「衛星生態学創生拠点」では流域生態系における炭素・水・エネルギー循環機構の解明を目指している。その研究フィールドとして,高山市大八賀川流域に様々な森林タイプを対象とした精査サイトが設定されており,常緑針葉樹林サイトは重点研究サイトの1つとして位置付けられる。本研究では,2006年に観測されたデータを基に,常緑針葉樹林サイトにおける生態圏‐大気圏の炭素交換量と陸面過程モデルを用いたモデリング解析の結果を報告する。観測サイトは高山市から東へ約10 km,標高800 mに位置する。2006年における降水量は約1800 mm,年平均気温は約9度であり明瞭な季節変化があり,冬季(12月から4月上旬)は積雪に覆われる。研究サイトにおける渦相関法によるフラックス観測,微気象観測,土壌環境観測などはタワーとその周辺にて行われた。モデル解析には,陸面過程モデル(NCAR/LSM)を使用し,本研究サイトで観測された微気象値・推定値を,モデルの入力値および各種モデルパラメータ(例えば,樹高,LAI,バイオマス量,呼吸速度パラメータ)として用い,各種パラメータの感度実験および観測結果との比較を行った。観測結果から,2006年の年間の生態系総生産量(GPP)は約20 tC m-2 s-1,生態系呼吸量(Reco)は約15 tC m-2 s-1であり,他の日本の常緑針葉樹林の結果である(Takanashi et al., 2005, Ecological Research)と比較して大きい値であった。また,モデル解析の結果では,デフォルト値,改良値ともにGPPは観測値と比較的よい一致をみせたが,Recoについては,観測値とモデルの結果に大きな隔たりがあった。

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