| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-274

ヒノキ人工林へのタケの侵入に伴う土壌化学性の変化

*梅村光俊(名大農),竹中千里(名大院生命農)

近年、日本各地の里山において竹林が拡大しており、特に管理が行き届いていない広葉樹林やスギ・ヒノキ人工林への外来植物であるモウソウチクの侵入が問題となっている。タケが侵入した林分では樹木が枯死する例が多数報告され、構造が単純で構成種が少ない竹林の侵入による種多様性の低下が危惧されている。そのため、タケの侵入が森林生態系へ及ぼす影響についてはさまざまな研究が行なわれつつある。しかしながら、土壌化学性への影響に焦点を当てた研究は少ない。本研究では、竹林拡大の森林生態系への影響の一つとして、ヒノキ人工林へのタケの侵入に伴う土壌化学性の変化を明らかにすることを目的とした。特に、タケがケイ酸集積植物であることに着目し、可給態ケイ酸及び土壌pHについて調べた。

調査地は、愛知県豊田市および瀬戸市においてヒノキ人工林にモウソウチクが侵入しつつある地点を3箇所選定した。それぞれの地点において竹純林、侵入竹林、ヒノキ純林に約15×15 mの区画を設定し、それぞれの区画から表層土壌7箇所を採取し、可給態ケイ酸、pH、含水比、C/N比、交換性陽イオンを分析した。

可給態ケイ酸は、ヒノキ純林・竹純林で高く侵入竹林で低い傾向が見られた。また、土壌pHはヒノキ純林・侵入竹林・竹純林の順に高くなることが明らかとなった。これらの結果から、タケの侵入に伴う土壌化学性の変化を考察した。

日本生態学会